何かとバタバタする日々が続き、
まったく更新できていませんでした、、申し訳ありません。
地域の皆様方と動物たちに支えられ、
開院から無事半年を迎えることができました。
心より感謝申し上げます。
まだまだ何かとご迷惑をお掛けすることがあるかとは思いますが、
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
本日の症例紹介は、
犬の胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)です。
胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁(たんじゅう)を一時的に貯蔵する臓器です。
胆汁は本来サラサラの液体なのですが、
この病気では、粘液様物質(ムチン)と呼ばれる物質が貯留し、胆汁がベトベトになってしまいます。
下の写真は、正常な胆嚢の超音波画像です。
胆汁がサラサラであれば、胆嚢の中は黒く見え、
胆嚢自体もきれいな楕円形です。
一方で、胆嚢粘液嚢腫では下の写真のように映ってきます
(いろいろなパターンがありますが・・・)。
胆嚢内には白い物質が沈着し、胆嚢の壁は肥厚し、胆嚢自体もかなり不整になっています。
この病気を発症すると、胆汁が流れる経路で閉塞が起こったり(胆管閉塞)、胆嚢自体が炎症を起こしたり(胆嚢炎)、肝臓に炎症が波及したり(胆管肝炎)、といったことが生じてしまいます。
治療は内科療法と外科療法がありますが、このコは重度でいつ破裂するか分からず、肝臓の病的変化も重度でしたので、手術で胆嚢を切除することにしました。
この症例では、お腹の中の脂肪や間膜との癒着が重度で、さらに肝臓との癒着が重度でしたが、何とか切除することができました。
その後、万全を期すために輸血をしましたが、翌日からごはんをモリモリ食べてくれて、数日後に無事退院しました。
さて、この胆嚢粘液嚢腫という病気・・・
遺伝的背景、高脂血症、胆泥症、クッシング症候群(副腎という臓器の機能亢進症)、シェルティーに多い、・・・
など、いくつかの要因や特徴が挙げられています。
いずれにせよ、健康診断で早期に発見し、同時にケアや検診を行っていくことが現実的な対策ではないかと思われます。
さて、先日、ICU(集中治療室)を導入致しました。
温度、湿度、酸素濃度を一定のレベルに維持することができます。
重篤な患者さんや大きい手術後のケアにも対応できるよう設置致しました。
より多くの疾患に対応できるよう努力してまいりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。