1月も終わりを迎えていますが、
今月は、度重なる寒波の訪れで寒い日が続きましたね。
ノロウイルスの次は、インフルエンザウイルス。
皆さんも体調管理には十分にお気をつけください。
さて、症例紹介です。
元気食欲がなくなったということで、
老齢のわんちゃんが来院されました。
身体検査では、
口の中の粘膜や舌の色が白っぽく、
頻脈(脈が速い状態)を呈していました。
血液検査では、
重度の貧血(ヘマトクリット値:10% *正常であれば約35%以上)を認め、
腹部の超音波検査では、
脾臓(ひぞう)という臓器に腫瘤(しこり)が認められました。
レントゲン検査では、遠隔転移を示す所見は認められませんでした。
脾臓という臓器にできる腫瘤としては、
腫瘍、血腫(血のかたまり)、結節性・反応性過形成、ガムナ・ガンディー結節(ジデロプラーク)、・・・
などがあります。
そして、その発生率を大まかに分ければ、
約半分は腫瘍で、うち7~8割は悪性腫瘍と言われています。
中でも血管肉腫という悪性腫瘍はたちが悪く、
早期の転移を起こすだけでなく、
止血異常や貧血など血液学的な異常を起こすことの多い腫瘍です。
*ホームページの症例紹介の項でも掲載しております。
(ただし、ややきつめの写真が掲載しておりますので苦手な方はご注意ください)
上記のような可能性を含め
オーナー様とじっくりご相談させて頂き、
輸血をしたうえで手術を実施しました。
状態が状態でしたから、術後の経過が非常に心配でしたが、
何とか手術に耐えてくれました。
驚くことに手術翌朝から元気にご飯を食べてくれて、
予定どおりに無事退院することができました。
今後は補助的治療を含め、注意しながら経過を追っていきたいと思っています。
そして、今回輸血するにあたり、
当院に来て下さっているわんちゃんから供血させて頂きました。
本当に有難うございました。