子宮蓄膿症

いつもより多く水を飲み、その後元気食欲がなくなってきたとのことで来院した未避妊雌のミニチュアダックスフンド。各種検査から子宮蓄膿症と診断し、卵巣と子宮の全摘出術を実施した。未避妊の雌で比較的多く見られる病気であり、避妊手術をしていれば、この病気を発症するリスクは事実上なくなることから、若齢での避妊手術が推奨される。

卵胞嚢腫と子宮腫瘍

おりものが続き、何となく元気がないとのことで来院した未避妊雌のミニチュアシュナウザー。卵巣の腫大と子宮の腫瘤を認めたため、卵巣子宮全摘出術を実施した。卵巣は卵胞嚢腫、子宮は平滑筋腫であり、これらの病気も若齢での避妊手術によって回避することができる可能性が高い。

精巣腫瘍

片側の潜在精巣(精巣が腹腔内や鼠径部に停滞してしまう状態)の犬。健康診断でお腹の中にしこりを認め、精巣腫瘍と診断し外科的に切除した。精巣腫瘍は潜在精巣の動物で好発するため、早期の去勢手術が薦められる。

肝臓腫瘍

食欲がないとのことで来院した雑種犬。肝臓の一部が著しく腫大していたため、外科的に切除した。腫瘍の種類にもよるが、肝臓の腫瘍は写真のように大きくなって初めて症状が発現することが多いため、健康診断等で早期発見することが望ましい。

脾臓腫瘍

元気食欲がないとのことで来院したゴールデン・レトリーバー。検査で脾臓の腫瘤を認めたため、腫瘤を含めた脾臓の全摘出術を実施した。症例は、“血管肉腫(けっかんにくしゅ)”という悪性腫瘍であった。この腫瘍の悪性度は高く、早期発見が望まれる腫瘍である。

膵臓腫瘍(インスリノーマ)

後ろ足のふらつきとふるえのため来院したシーズー。低血糖、インスリンの高値、膵臓の腫瘤を認めたため、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)を疑い膵臓の部分切除術を実施した。低血糖の原因となる病気はいくつかあるが、中高齢で低血糖が認められた場合には、鑑別すべき病気のひとつである。

膵臓腫瘍(インスリノーマ) 論文

甲状腺腫瘍

首の下にしこりがあるとのことで来院。検査で両側の甲状腺癌を認めたため、CT検査を実施したうえで外科的に切除した。甲状腺癌は、進行すると気管や血管に浸潤し治療が困難になるだけでなく転移のリスクも上昇するため、早期の診断と治療が望まれる。

前立腺腫瘍

頻尿・血尿のため来院した去勢雄のミニチュアダックスフンド。諸検査で前立腺の肥大を認め、細胞の検査で腫瘍が疑われたため、外科的に前立腺を切除、同時に永久的導尿カテーテルを設置した。病理検査の結果は前立腺癌であった。去勢雄で前立腺の肥大が認められた場合には注意が必要である。

骨盤腔内腫瘍

骨盤腔内の悪性腫瘍による排便困難のため、人工肛門を作成した症例。リスクの高い手術は望まないが、排便だけでも改善させてあげたいという飼い主様のご希望で結腸造瘻術(人工肛門の造設)を実施した。装具は、小児用の人工肛門装具を代用した。その後の管理は、飼い主様のご協力もあり良好であった。

縫合糸反応性肉芽腫

元気食欲の低下、発熱を主訴に来院したミニチュアダックスフンド。検査で縫合糸反応性肉芽腫が疑われたため、外科的に切除した。縫合糸反応性肉芽腫は、原因不明であるが、免疫異常など生体側の要因の関与が疑われている疾患である。手術をしても内科療法が必要となることが多い厄介な病気である。

縫合糸反応性肉芽腫 論文

肥満細胞腫

皮膚に頻繁に発生する悪性腫瘍のひとつで、腫瘍から放出される物質によって全身に悪影響を与える可能性のある腫瘍である。根治のためには、1回目の手術で確実に腫瘍を切除することが重要である。

皮下の血管肉腫

陰茎基部が腫大し、出血および排尿が困難とのことで来院したビーグル。細胞の検査で悪性腫瘍が疑われたため、腫瘤を含めた陰茎全切除をおこない、同時に新しい外尿道口を作成した。病理診断は皮下の血管肉腫で悪性であったが、約2年間元気に生活していた。

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