こんにちは。今日は症例紹介をしたいと思います。吐いた後、呼吸が苦しそうで、ぐったりしていたとのことで来院されました、もうすぐ11歳になる猫です。来院時の心拍数は180回/分、心雑音はありませんでした。レントゲン検査と超音波検査を行いました。

 

レントゲン検査では心陰影がやや肥大

超音波検査では心臓壁の肥厚が認められました。以上のことからこの猫ちゃんには心筋症があると考えられます。心臓の病気は進行性なので、定期的な超音波検査により経過観察を行います。また、心筋症を引き起こし得る基礎疾患(全身性高血圧や甲状腺機能亢進症など)の検査も必要になります。 猫の心筋症において最も一般的なのは肥大型心筋症です。主に左心室の筋肉が厚くなり、左心室が狭くなり血液をためることができなくなるため、体が必要とする血液が心臓から出なくなり全身の働きが低下します。

左が正常な心臓で、右が肥大型心筋症の心臓です。 肥大型心筋症では、肺に水がたまり呼吸がうまくできない、咳が出るなどの症状も出ます。また後肢の突然の痛みと麻痺が起こる場合があります。これは血液の流れが悪くなることで血液のかたまり(血栓)が血管に詰まり、後肢に血液がゆきわたらずに起こります。写真は血栓塞栓症により後肢が麻痺した猫です。

診断は主に心臓の超音波検査で行います。心臓の壁が内側に厚くなるため、初期ではレントゲン検査で異常が見つからない場合があります。また症状や心雑音がない猫でも罹っている場合があります。そのため定期的な超音波検査によって心臓に異常がないかを確認することが重要です。 猫ちゃんに多い病気なので、健康診断の際は心臓の検査も受けることをお勧めします!

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