当院では、骨折、椎間板ヘルニア、腫瘤切除、胆嚢摘出術、異物除去など様々な外科手術に対応可能です。外科手術が必要だが、大学病院や、2次診療病院など通院する時間がない方、車がなく遠方まで通院不可能な方は、一度当院にご相談ください。
TPLO
TPLOは膝の前十字靭帯断裂症例にアメリカで開発された 最新の手術方法です。
当院ではTPLOの手術を行なえるように、Synths社のTPLO 器具を導入いたいしました。また外科用X線透視装置も導入し、 より整形外科疾患に力をいれております。 また関節鏡で術前の関節内の評価を行うことが可能です。
主に大型犬に適用していた手術方法ですが、近年では小型犬も 含めTPLOを行う方が半月板の損傷や関節炎リスクをへらす ためにもいいと考えられてきています。また今まで行われてい たワイヤーやナイロン糸を使用した手術方法だと、糸が切れる デメリット、体重の重い大型犬・超大型犬には適応できないこ となどから、TPLOが最適な手術方法だと言われています。
施術例
軟部外科疾患
子宮蓄膿症
いつもより多く水を飲み、その後元気食欲がなくなってきたとのことで来院した未避妊雌のミニチュアダックスフンド。各種検査から子宮蓄膿症と診断し、卵巣と子宮の全摘出術を実施した。未避妊の雌で比較的多く見られる病気であり、避妊手術をしていれば、この病気を発症するリスクは事実上なくなることから、若齢での避妊手術が推奨される。
卵胞嚢腫と子宮腫瘍
おりものが続き、何となく元気がないとのことで来院した未避妊雌のミニチュアシュナウザー。卵巣の腫大と子宮の腫瘤を認めたため、卵巣子宮全摘出術を実施した。卵巣は卵胞嚢腫、子宮は平滑筋腫であり、これらの病気も若齢での避妊手術によって回避することができる可能性が高い。
精巣腫瘍
片側の潜在精巣(精巣が腹腔内や鼠径部に停滞してしまう状態)の犬。健康診断でお腹の中にしこりを認め、精巣腫瘍と診断し外科的に切除した。精巣腫瘍は潜在精巣の動物で好発するため、早期の去勢手術が薦められる。
肝臓腫瘍
食欲がないとのことで来院した雑種犬。肝臓の一部が著しく腫大していたため、外科的に切除した。腫瘍の種類にもよるが、肝臓の腫瘍は写真のように大きくなって初めて症状が発現することが多いため、健康診断等で早期発見することが望ましい。
脾臓腫瘍
元気食欲がないとのことで来院したゴールデン・レトリーバー。検査で脾臓の腫瘤を認めたため、腫瘤を含めた脾臓の全摘出術を実施した。症例は、“血管肉腫(けっかんにくしゅ)”という悪性腫瘍であった。この腫瘍の悪性度は高く、早期発見が望まれる腫瘍である。
膵臓腫瘍(インスリノーマ)
後ろ足のふらつきとふるえのため来院したシーズー。低血糖、インスリンの高値、膵臓の腫瘤を認めたため、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)を疑い膵臓の部分切除術を実施した。低血糖の原因となる病気はいくつかあるが、中高齢で低血糖が認められた場合には、鑑別すべき病気のひとつである。
甲状腺腫瘍
首の下にしこりがあるとのことで来院。検査で両側の甲状腺癌を認めたため、CT検査を実施したうえで外科的に切除した。甲状腺癌は、進行すると気管や血管に浸潤し治療が困難になるだけでなく転移のリスクも上昇するため、早期の診断と治療が望まれる。
前立腺腫瘍
頻尿・血尿のため来院した去勢雄のミニチュアダックスフンド。諸検査で前立腺の肥大を認め、細胞の検査で腫瘍が疑われたため、外科的に前立腺を切除、同時に永久的導尿カテーテルを設置した。病理検査の結果は前立腺癌であった。去勢雄で前立腺の肥大が認められた場合には注意が必要である。
骨盤腔内腫瘍
骨盤腔内の悪性腫瘍による排便困難のため、人工肛門を作成した症例。リスクの高い手術は望まないが、排便だけでも改善させてあげたいという飼い主様のご希望で結腸造瘻術(人工肛門の造設)を実施した。装具は、小児用の人工肛門装具を代用した。その後の管理は、飼い主様のご協力もあり良好であった。
縫合糸反応性肉芽腫
元気食欲の低下、発熱を主訴に来院したミニチュアダックスフンド。検査で縫合糸反応性肉芽腫が疑われたため、外科的に切除した。縫合糸反応性肉芽腫は、原因不明であるが、免疫異常など生体側の要因の関与が疑われている疾患である。手術をしても内科療法が必要となることが多い厄介な病気である。
肥満細胞腫
皮膚に頻繁に発生する悪性腫瘍のひとつで、腫瘍から放出される物質によって全身に悪影響を与える可能性のある腫瘍である。根治のためには、1回目の手術で確実に腫瘍を切除することが重要である。
皮下の血管肉腫
陰茎基部が腫大し、出血および排尿が困難とのことで来院したビーグル。細胞の検査で悪性腫瘍が疑われたため、腫瘤を含めた陰茎全切除をおこない、同時に新しい外尿道口を作成した。病理診断は皮下の血管肉腫で悪性であったが、約2年間元気に生活していた。
レッグカルベペルテス病
この病気は一歳未満の小型犬で最もよくみられます。原因は大腿骨上部の成長板への血液供給不足です。血液供給が不足する原因はわかっていません。
レッグ・カルベ・ペルテス病では、最初に重い症状が現れないまま、股関節に重度の損傷が及んだり、骨頭の骨折をおこして飼い主様が気づかれることが多いです。最初に現れる症状は主に股関節痛とびっこがおこります。やがて関節が思うように動かせなくなり、あまり使わないために大腿筋が萎縮します。
下の二枚のレントゲン写真は、犬種はトイプードルとマルチーズミックスです。
来院時には大腿部の筋肉の萎縮が認められ、レントゲン検査でも右と左の太ももの太さの違いがわかると思います。
治療としては、大腿骨の骨頭切除を行います。犬は人間と違って四本足で歩行する生き物です、また臀部の筋肉量が多いため、骨頭を切除を行うことで、痛みがとれ、周りの筋肉に支えられ歩行が可能となります。ただ、術後のリハビリを怠るとびっこはのこることがあります。
切除した骨頭の写真です。 | 骨頭切除を行う前の大腿骨頭の透視画像です。股関節から脱臼しているのがわかります。 |
骨頭の骨切り後、透視の機械で骨切りラインを確認します | 骨切りをおこなう整形外科用の電動ノコギリです。シンセスのコリブリⅡです。人の整形外科医療でも、世界的にシンセスのドリルが使用されています。 |
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島津製作所の外科用透視機械です。人間の医療でも同じものを使用しています。骨だけではなく、血管も映し出すのにも、非常に優れていて、透視の機械の中では一番性能がいいと言われています。門脈シャントなどの手術にも適応できます。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアにはハンセン1型と2型があります。背骨の骨と骨の間にある円盤状の線維輪を椎間板と呼びます。椎間板の中には軟らかいゼリー状の髄核があり衝撃吸収の役目をしています。ダックス、コーギー、シーズーなどはもともと犬種的に椎間板の成長異常がおこると言われています。そのため、比較的若齢で椎間板の髄核がゼリー状から硬い衝撃吸収できないものへと変性が起こるため、何かの拍子に椎間板の髄核が脊髄神経の方に突出します。それにより後躯麻痺などがおこります。
麻痺まで起こらない軽度の症状の場合は薬で治療しますが、MRI検査にて重度の脊髄神経圧迫の場合は外科的に神経を押しつぶしている、椎間板物質を取り除きます。
神経線維は再生能力がないため、発症後神経が死んでしまうと、外科的に手術しても麻痺の改善はおこりませんが、手術により神経の圧迫がとれることにより、再び歩行可能になる場合もあります。
発症後いかにはやく神経の圧迫を取り除くかは重要な要素の一つです。発症時に神経の深部まで圧迫、損傷が行ってしまっている場合は、迅速な手術を行なっても麻痺なる可能性が高いですが、手術を行なってみないと、結果がどうでるかはわからない場合もあります
施術例
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橈尺骨骨折
トイ種の橈骨は骨の中の血流が少ないため、他の犬種や猫などより癒合不全が起こりやすく、再骨折を起こしやすいと言われています。
トイ種には超小型犬用のスクリュウとミニプレート、専用の整形器具でプレート固定を行います。術後は、ロバートジョーンズ包帯を行い、ケージレスとをして安静にさせます。定期的にレントゲン撮影を行い、経過をチェックしていきます。